川場温泉 ペンシオーネ花紀行 |
霊峰・武尊山の南麓、標高615メートルに位置する川場村は、面積の7割が山林を占め、武尊山からくりだす豊かな清流が畑や果樹園をうるおし、大いなる地の恵みを生み出している。もっとも四季を感じられる環境だと言われている。
「花紀行」は、そんな田園風景を見下ろす高台に建つペンションだ。真っ白なリンゴ畑の中で、旅人の到着を待っていてくれた。
「都会の人たちにとって、名もない小さな草花や虫の声に、ほっと気づける場所を提供したくて始めました」と言うオーナーの星野紀重さんは、平成2年に脱サラをして2年後にペンションをオープンさせた。
料理も接客も初めてだったという星野さんに、奥さんの八重子さんは「言いだしたら聞かない人だから」と笑う。二人三脚のペンション経営も18年が経ち、毎年訪れる都会からのリピーター客も多く、「今となれば、サラリーマンを辞めて良かったかな」とも。
レストランのテーブルに、オダマキ・シャガ・ムラサキケマンといった野花が、さり気なく摘まれている。宿をめぐる庭園にも、名前どおりに季節の花々が咲き乱れている。夏になれば、敷地内を流れる小川に天然のホタルが舞うという。
浴場は小さいながらも、村営の温泉センターが使用している源泉と同じ「弘法の湯」が引かれていた。ペンションでありながら、歴史ある古湯に入れるとは、なんと贅沢なことか。湯舟の中からは、ガラス窓一面に広がるリンゴ畑が見渡せた。この白い花が、秋には真っ赤な実をたわわに付けることだろう。確かに、四季を感じる気づきの場所である。
湯上がりに散歩へ出ると、宿の前で思わぬ客人とバッタリ会ってしまった。カモシカである。彼は何食わぬ顔で、リンゴ畑の中を山へ向かって歩いて行った。
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(C)2010 Jun Kogure / Hajime Kuwabara |
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源泉名 |
川場温泉 1号泉と3号泉の混合泉 |
湧出量 |
134.3リットル/分(自然湧出) |
泉温 |
54.8度 |
泉質 |
アルカリ性単純温泉 |
効能 |
疲労回復、リウマチ、冷え性、関節症ほか |
温泉の 利用形態 |
加水あり、加温あり、循環ろ過 |
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